入社は2015年で、一貫して鉄筋を扱う部署に所属しています。学生時代は「自分が何をやりたいか」があいまいで志望業界すらしぼり込めていませんでした。各社を回る就職活動のなかで最終的に入社の決め手となったのは面接での質問や対話の印象です。採用担当者からの「志望動機よりもあなたがこれまで何をしてきたのかを聞きたい」という言葉は今でも鮮明に覚えています。人間性をみてくれているのだという安心感や、明るく風通しが良い雰囲気に惹かれました。入社後も印象は変わらず、働きやすい環境が保たれていると感じます。
私の所属する部署は、メーカーとお客さまとの間に立って取引を円滑に進めるのが主な業務です。具体的には、お客さまやメーカーと商談を重ねて価格や納期などを調整し、各工事現場へ製品を納入するための手配と管理を担います。製品はメーカーからお客さまが指定する場所へ納品されますが、その調達・搬入のプロセス全体を管理するのが私たちの役割です。
私の部署で取り扱う製品は、どのメーカーも同じ規格に沿っており価格も大きな差がありません。そのため、取引を成功させるには、製品での差別化ではなく人としての信頼関係に意義を見出していただく必要があります。聞かれた場ですぐに回答できるよう事前に準備をしたり、些細なことでも現場に顔を出して対応するといった、いわば当たり前の行動をコツコツと続けていくなかで信頼の絆が強まっていきます。
転機は入社3年目の頃。それまでとは桁が違う規模の大きな現場を任されたのです。状況を好転させるには常に先を見越して自ら行動する必要がありました。重圧は相当なものでしたが、とにかく現場へ出向き、所長はじめ主要な人たちと直接顔を合わせて対話を重ねることで信頼関係を強くしていきました。なんとか現場での対応をおこない、所長から「君が担当で良かった」と評価をいただけた時は、大きな案件を乗り越えた達成感と、現場の絆を大切にする自らのやり方が報われた喜びが湧き上がったのを今でも覚えています。
私たちの仕事は、受注して終わりではなく、現場が完了するまで「うまくおさめる」ことが最も重要です。価格交渉も納期調整も、単にお客さまの要望を言われたとおりにこなすのではなく、要望の先にある本当の目的や判断の優先順位などを理解したうえで、提供できる上限を伝える必要があります。無理だと思われる要望の場合は、断るだけではなく「要望どおりは難しいが、ここまでなら対応できる。あるいはこの方法ならこの課題は解決できる」など代替案を提示することを心がけています。
こうした真摯な対話には、状況を瞬時に把握し、即座に判断できる知識と経験が必要です。場数を踏んで相場観を養い、担当者と対話を積み上げていく毎日の積み重ねがなにより重要といえます。特に、現場のキーマンである所長と密なコミュニケーションを取り、どんな要望にも真摯に向き合うことで信頼関係を築きます。そして、「次の現場も君に頼みたい」と指名をいただけることが、この仕事の一番のやりがいです。
営業のスケジュール管理は個人の裁量に任されています。自由に動けるところが手応えにつながる一方、ひとりで抱え込んでしまうと責任の大きさにつぶされそうになります。とくにトラブルが発生した場合、問題が小さなうちに対処しなければ信用問題にも発展してしまいますが、咎められるのが怖くてつい自分だけでなんとかしようとミスを隠してしまうことがあります。この点、担当者どうしの相談も、先輩や上司への相談も、ちょっとした心配事から気軽に話せる当社の風通しの良さはなによりの環境だと感じます。
営業は個人に紐づく業績のようにみえて、実は部署内ひいては社内の多くのメンバーと一緒に築いていくものです。「会社の看板を背負っている」自覚もこの経験のなかで育っていくのではないかと感じています。専門的な知識やスキルは入社後の学びや経験から得られます。とにかく、今できることに全力で向き合い、人としての吸収力を高めて、これからの出会いを糧にする力をつけていくのが大切ではないかと思います。
現場は朝早くから動いているため、始業時は現場担当者から届いたメールなどを確認します。午前の内に、納品依頼が届いている明細の打合せをメーカーと行い、納期を決めます。夕方だとメーカー担当者が帰って打合せできない場合が出てくるため、できる限り午前中に処理をします。ゼネコンへ訪問した際は、見積書の提出や価格交渉、今後の新規発注予定案件のヒアリングなども行います。
午後は、実際に鉄筋が使われる建設現場へ足を運ぶことが多くなります。現場の進捗状況を直接確認し担当者と工程の打ち合わせを行って、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな納入を実現します。会社に戻ってからは、メールへの返信やお客さまから依頼のあった資料の作成といった事務作業を行います。何かトピックがあった際は上司へ時間関係なく報告を行い、共有するようにしています。